社会福祉の登場まで

 

中世の社会

中世の社会(18世紀以前)は、身分や土地に縛られながら生きる、封建身分制社会でした。そんな社会では、身分制度や人々が暮らす土地と結び付いた生活のルールがありました。そしてそれが基礎となった、同じ身分や土地の人、ひとりひとりの生活上の困難なことを集団として乗り切るという、相互扶助の考えが一般的でした。

 

中世から近代へ

中世から近代になる基準の1つに、封建制から資本制への転換がありますね。資本制の社会は、よく商品交換社会と言われ、これまで身分で構成されていた社会の閉鎖性を打開する必要性が生まれてきます。そんな中、個人は自由で平等であるべきだと言う、啓蒙思想を基本にして社会は作られるべきだとする市民革命が勃発しはじめます。これは、市場というしくみによる、資本主義経済の拡大によって裏付けられた、個人の自由や人権の観念の登場であると言えます。

 

近代以降の社会

個人の自由や平等を目指した結果、人々の暮らしは自立していきました。そのため、生活上の困ったことは自分で解決する、自助の原則が一般的になりました。しかし、近代社会が理想とした、強い個人になることはできず、理想と現実の人間像に矛盾が生じました。また、資本主義の発展に伴って、失業や貧困などが問題化し、階層の文化が生まれました。

 

社会福祉の登場

近代以降、個人の自由と自立を認めつつ、個人や家族の自助、相互扶助能力の限界に対して、回避することのできない生活困難への対応するものとして社会福祉が登場しました。さらに、20世紀以降、民主主義と人権が発達していくに伴って、国家が個人や家族の生活困難に対処する責任があるという考えが生まれ、ヨーロッパを中心に福祉国家の建設が始りました。

 

概念の復習

 

福祉国家

社会保障制度・完全雇用政策・教育・住宅・保険・医療などの生活に必要なもののや、福祉サービスなどを国家が責任を持って供給する体制のこと。

 

生活困難

必要財(水、光、空気、食べ物、衣類、住居などの生きていく上で必要な財)、労働、選択と意思決定能力、社会集団への帰属、これらが充足されない時に生活困難になる。



以上です!
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